親分子分の政治

2021年02月03日 09時00分

 映画を見たことはないが、歌だけはなぜかよく覚えている。子どもの耳に残るくらいだから、かなりの人気作品だったのだろう。『昭和残侠伝 唐獅子牡丹』(1966年、東映)の同名の主題歌(水城一狼・矢野亮作詞)である

 ▼主演を務めた高倉健が渋い声で歌っていた。「義理と人情を 秤にかけりゃ 義理が重たい 男の世界 幼なじみの 観音様にゃ 俺の心は お見通し 背中で吠えてる 唐獅子牡丹」。親分子分、義兄弟。そんな義理を大切にする「男の世界」と、政治の世界が似ているように見えるのは気のせいか。今回、またその思いを強くした。松本純元国家公安委員長ら3人の衆院議員が緊急事態宣言中に東京銀座のクラブで深夜まで飲酒していた一件である

 ▼事実が明るみに出た当初、松本氏は「1人で行った」と語っていた。ところが実は同じ自民党の田野瀬太道文部科学副大臣と大塚高司衆院議院運営委員会理事を連れていたのだ。松本氏が後輩2人をかばい、うそをついたのである。自分1人が盾になって批判の弾を受け、2人の子分を守ろうとしたようだ。親分として見上げた心掛けでないか。ただし本当に守らねばならない人が他にいると気付かなかったのは残念だ

 ▼国民は今、医療的にも経済的にもギリギリの状態で新型コロナウイルスと戦っている。現に命を落としている人が世の中には大勢いるのだ。なのに国民の代表である国会議員が、身内の義理と政治生命しか大切に考えていないとは嘆かわしい。どうやら胸で「吠えてる」議員バッジはただの見掛け倒しらしい。


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