音楽ユニット「スキマスイッチ」の『全力少年』(2005年)が好きでたまに聞く。大人になった男が現実に流されるのをやめ少年の心を取り戻そうとする歌だ。こんな一節があった。「ガラクタの中に輝いてた物がいっぱいあったろう? 〝大切なもの〟すべて埋もれてしまう前に」
▼東洋大学「現代学生百人一首」も、そんな大切なものを思い出させてくれる歌である。先月、第34回の入選作品が発表になった。全国から6万5000首を超える応募があったそうだ。入選した100首の中から幾つか紹介したい。「秋の午後ホウキギターをにぎりしめ聞いてください本当の俺」(世田谷区立梅丘中2年黒田孔)。そう、世界を開くのは君だ
▼「ありがとう言えない言葉伝えたい空っぽの弁当見て笑う母」(山形県立北村山高2年笠原小夏)。お互い無言なのに雄弁なこのやりとり。「待つ人がいるから毎日病院へがんばる母にエールを送る」(いすみ市立国吉中3年石井美咲)。娘の応援が何より力になる。技術に誇りを持って研さんを重ねる生徒もいた。「目を凝らし細かくハンドル回してくミリより低い俺たちの世界」(広島県立広島工業高2年池田翔太)。分かっているけどやめられないのがこの年頃の男どもだろう。「プリクラで可愛く写る女たち男よ気を張れ実物ちゃうぞ」(山口県立岩国商業高3年友座猛)
▼「彼が打つボールは綺麗にゴールへと私のハートに3ポイント」(千葉市立葛城中2年神原結奈)。コロナ禍にあっても輝きを失わない学生たちのはつらつとした歌に心を洗われる。