コロナ禍で実態は低下か
国土交通省と農林水産省は19日、3月1日以降契約の直轄工事に適用する2021年度公共工事設計労務単価を発表した。道内の伸び率(単純平均)は、43職種平均で前年度比0.6%、普通作業員など主要12職種平均も0.5%それぞれ上昇し、10年連続で前年度を上回った。コロナ禍の影響を踏まえた特例措置によって同額に据え置かれたものの、公共事業労務費調査の結果だけでは前年度を下回った工種が6割を超えており、実態的には前年度を下回っていた可能性もある。
予定価格の積算に使用する公共工事設計労務単価は、技能労働者の所定労働時間8時間当たりの基本給相当額、基準内手当、所定労働日数1日当たりの臨時給与、実物給与で構成している。
従来は4月に適用していたが、補正予算執行への迅速な反映を目的に14年から公表を前倒し。13年度以来継続している法定福利費相当額(本人負担分)の加算のほか、20年度から実施している有給休暇取得に要する費用も引き続き加味した。
新単価は新型コロナウイルス感染症による経済的影響を踏まえ、労務費調査結果に基づき20年度単価を下回る設定となった場合、20年度と同額とする特例措置を設けた。
道内は両省の直轄・補助事業から無作為抽出した工事866件、8367人から有効標本を確保し、集計結果を基に労務単価を決定。ブロック工は全国でも有効サンプルが少なく単価が設定されず、21年度は全43職種平均で2万5330円となった。単純比較で0.6%増で、ブロック工を除く43職種のみの平均と比較した場合は0.3%の増額となっている。
主要12職種の単純平均は1万9950円で、前年度に比べて100円、0.5%の増額。軽作業員が0.7%、運転手(特殊)が1%、交通誘導員Aが5%、交通誘導員Bが1.7%それぞれ伸び、とび工、型枠工、大工は据え置き。残る特殊作業員、普通作業員、鉄筋工、運転手(一般)、左官はいずれも前年度を下回ったが特例措置により据え置かれた。
全国47都道府県では単純平均で1.2%の増加で、こちらは9年連続の上昇。最も伸び率が低いのは沖縄の0.4%増で、北海道と東北6県はそれに次いで低い0.6%となり、岩手、宮城、福島の被災3県も同じく0.6%増にとどまった。
本来は減額だが、特例措置によって20年度と同額に保たれた工種の割合は全国で42%に上る。コロナ禍で生じた受注の不透明化などで技能者賃金を抑制する傾向が出ており、道内は43職種中27職種、62.8%に特例措置が適用されて前年度同額となっている。
この特例措置がなかった場合、全国平均の伸び率は0.8ポイント低下して0.4%の微増にとどまっていた。伸び率が低い道内では、マイナスとなっていた可能性もある。
国交省・農水省は新単価と設計業務委託等技術者単価を3月1日以降に契約する直轄工事に適用する。2月28日以前に旧単価で公告し3月1日以降契約する工事に新単価を反映させる特例措置を継続するほか、2カ月以上の工期を残す工事についてはインフレスライド条項の適用対象として設計変更で対応する。
道は週内に対応を決定する予定。札幌市は直轄同様の対応とする考えだ。
(北海道建設新聞2012年2月22日付に関連記事を掲載します)