つい最近の出来事だが、SNSでとある大手自動車メーカーの新車キャンペーンに批判が殺到した。いわゆる「炎上」である。理由はイメージ画像にあった
▼趣旨の〝冬のキャンプを楽しもう〟に合わせたのだろう。若者たちが林の中でたき火をしているシーンである。さすがに広告だ。見栄えはいい。ただ、よく見ると周りは一面枯れ葉のじゅうたん。車はその上に止められ、横で盛大にたき火の炎が上がっている。絶対にやってはいけない行為を凝縮したような光景でないか。まず枯れ葉が敷き詰められた場所でのたき火は厳禁だ。車の排気管の熱で枯れ葉が燃えるのもよく知られた事実である。しかも設定は空気が乾燥している冬。山火事の怖さを知らなすぎるといわざるを得ない
▼「しょせん広告」と見過ごすわけにいかないのは実際こんな災害が起こるからだ。21日に栃木県足利市の両崖山で発生した山火事が延焼を続けている。既に山林約80haが焼け、市内200世帯以上に避難勧告が出ているという。対策本部の和泉聡足利市長は24日の会見で、山の中にあるハイカーの休憩場所が出火元との推測を明らかにした。火の気がなく自然発火も考えにくいため、たばこや調理の火の不始末が原因になった可能性が高いらしい。出火当日、めったにない強風が吹いたのも災いした
▼危険なのが分かっていてたばこをポイ捨てするのは言語道断。ただ、山林で火を使うときに最低限必要な知識を、持たない人が増えているとしたらそれも見逃せない問題だ。車のCMはそれを象徴している気がしてならない。