親しみやすいデザインに
札幌市は、中央区複合庁舎整備の落札者となった大成建設グループの提案概要を公表した。RC一部S造、地下2地上6階、延べ約2万m²の規模で計画。札幌市時計台などで用いられる下見板をモチーフとした親しみやすいデザインに加え、道産木材やれんがなどを活用したエントランス、免震による災害に強い庁舎、感染症にも対応した庁舎を提案している。
落札者は大成建設を代表に、構成企業の日本管財、伊藤組土建、アスビック、協力企業の日本設計、セイコーマートからなるグループ。
中央区役所の建て替えとして整備する同施設は高さが最高32mで、地下1―2階に駐車場約150台、1―2階に区民センター、3―6階に中央区役所と保健センターを配置。3階に窓口フロア、4階に健診フロアを設ける。1階には物販施設が入ることも想定している。
外観は、街の区画割りを想起させるグリッドデザインや下見板をモチーフとした親しみやすいデザインを提案。下水熱を利用したロードヒーティングによる快適な歩行者空間や、道産れんが・木材など地域資材の積極的な活用も盛り込んだ。
3階には窓口フロアを置き、コの字形で混雑時でも視認しやすい空間とした。災害対応では、地下1階柱頭免震により幅広い揺れを制御するほか、災害時でも電力と給排水を維持するシステム構築を目指す。
環境配慮では、建物躯体の高断熱化などを推進。感染症対策としては、十分な機械換気量を確保するほか、手動で開閉可能な窓とエコボイド(吹き抜け空間)を通じた自然換気や、酸素クラスターイオン除菌脱臭装置設置などを構想する。
事業者選定委員会の審査講評によると、同グループの提案では、複合庁舎という施設の特性を深く理解した外観・配置、平面、断面計画となっている点や、市民サービス向上に向けた取り組みに関し具体性や実現可能性に優れている点を高く評価した。
解体は2022年1月、新築工事は23年1月の着手を目指しており、供用開始は25年2月となる予定だ。
(北海道建設新聞2021年3月5日付14面より)