北海道産米の収穫量が新潟県を超え、初の日本一になったのは今から60年前の1961年だった。とはいえ当時の道産米に求められていたのは質より量。国内で消費する分を全量国産でまかなえるよう目指していた時代だった
▼子どものころの記憶をたぐってみても、地元の米をごちそうだと思って食べた覚えはない。主食だから特に味を意識してもいなかった。ガス釜で炊いたときのお焦げが楽しみだったくらいか。たまに新潟県産コシヒカリを食べる機会があると、そのおいしさに驚いたものだ。ところがどうだろう。道産米の味はここ40年で格段に向上した。昔と今とではまさに隔世の感がある。おいしい米を選ぶのに道内のどの米にするか迷わねばならないくらいだ
▼それもそのはず。日本穀物検定協会が先週発表した2020年産米の「食味ランキング」で〝ななつぼし〟が11年、〝ゆめぴりか〟が10年連続して特Aを獲得した。直近の11年連続特Aは全国でも佐賀県の〝さがびより〟と2銘柄しかない。道産米では他に〝ふっくりんこ〟も特Aで、都合3銘柄が最上位の評価を受けている。ちなみに全国では154銘柄中、53銘柄が特A。過去最多(55銘柄)の18年産と並ぶ良い出来の年だったようだ
▼「新米のころはやっぱりご飯党」山田弘子。新米のころは過ぎているが、ご飯党にとってはうれしい話題である。しかも〝ななつぼし〟は10㌔で約3500円。これで茶碗60杯分以上あるのだから安いものだ。ごちそうとなったご飯をさらに引き立てるおかずを探すのも楽しい。さてきょうは何を。