会社探訪記 ケーワンシステム 「全国展開の夢」追う

2021年03月09日 12時00分

自社製品 一層普及を目指す

 ケーワンシステム(本社・札幌)は、幼稚園や老健施設などに設ける屋外ウッドデッキを販売・施工する会社。オリジナル製品のK―1デッキは、本州の商業施設や高層ビルなどで最近使われるようになり、知名度が上がっている。原田慶一社長は「今は責任施工のため北海道と東北、関東が中心だが、将来的には施工指導の仕組みを確立し、全国展開したい」と話している。

原田社長

 原田社長はもともと大手の鋼製下地材メーカーで勤めた後、1994年に独立して内装工事会社を立ち上げた。しかし無理な受注が響き、2001年に多額の負債を抱えて自己破産。再起を望む仲間の支援もあって、翌年にケーワンシステムを設立した。社名は自身の慶一(けい・いち)の名前から採った。

 以前の轍(てつ)を踏まぬよう、専門分野の床工事に特化。北海道万協会の事務局を務め、万協(本社・東京)が販売する万協フロアーの普及活動に尽力した。

 万協フロアーは、コンクリート床版などの上に設ける乾式二重床。床下空間に設備の配管類を通すことでスペースの有効活用につなげたり、生活音の防止や底冷えの緩和が期待できる。本州ではマンション、道内は病院や体育館などに採用されている。

 12年から、自社製品のK―1デッキを販売する。ウッドデッキ用の鋼製床下地で、メインフレームは日本製鉄のZAM、支持脚は万協フロアーを使用。さびの発生など経年劣化が少なく、防水層などに傷を付けることがないなど施工性の良さが好評だった。

安全性や低メンテナンス性から支持されているK―1デッキ

 学校や老健施設で採用されるようになり、より安全性を備えた「文教playタイプ」を開発した。屋内体育館に求められる日本産業規格のJIS A 6519に準拠した試験をし、屋外用ウッドデッキシステムの安全性を国内で初めて実証。17年には、万協と共同で実用新案を登録した。待機児童緩和の社会背景もあり、幼稚園や保育園、認定こども園などの引き合いが増えた。

 最近は救急車や小型トラックが乗り入れても耐えられるストロング5tや耐風圧、耐震タイプなど製品バリエーションを増やしている。高層ビルの多い首都圏やリゾート地の沿岸部など、ニーズの多様化に合わせた製品開発にはゴールがないという。

 東京事務所を開設したり、資本金を増資するなど会社は着実に成長している。5年前から完全週休2日制を実施。これまで始業時間は午前8時だったが、午前9時から午後5時までに就業時間を変更した。さらに残業ゼロも実践。それでも売上高は着実に伸びているという。

 施工マニュアルを作り、ビス1本にもこだわる責任施工が強み。社員数15人の少数精鋭のため、北海道と東北、首都圏が主戦場だ。

 今後は、技術研修を踏まえた認定制度を模索する。大手の建材会社や不動産会社、工務店に協力してもらうことで、製品を一層普及させたい考えだ。原田社長は「夢は全国展開」と話している。


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