緊急事態宣言解除

2021年03月22日 09時00分

 寒さが厳しくなると途端に体のあちこちが痛み始める。そんな人も多いのでないか。急に病気にかかるわけではなく、年齢とともに悪化してきた部分が寒さを引き金に症状として現れるのである

 ▼社会も同じらしい。フランスの歴史人口学者エマニュエル・トッド氏がコロナ禍に関してこんな意見を表明していた。「時間をかけて医療システムが損なわれたことを今回のウイルスが露呈させたと考えるべきでしょう」。世界がここまで追い込まれたのはコロナのせいばかりではない。市場原理最優先の新自由主義経済に傾斜するあまり、生活を支える医療システムや高齢者介護に割くべき人とお金を削り続けた。その当然の帰結だというのである。最新インタビューをまとめた『パンデミック以後』(朝日新書)に教えられた

 ▼日本の状況もやはり同じだ。民間病院が多いためコロナ対応病床を臨機応変に増やすことができず、資金不足と職員の低賃金が常態化している高齢者施設では感染防止対策もままならない。きのうで首都圏1都3県に出されていた緊急事態宣言が解除された。1月からおよそ2カ月半。首都圏の宣言とはいえ全国への影響も決して小さくなかった。特に客商売の人には朗報に違いない

 ▼感染対策は継続したまま、しばらく様子を見るのだろう。ただ、目立つのは対症療法ばかり。トッド氏が指摘する国の弱い部分を根本から治療する姿勢はほとんど見られない。これではいつまでも同じ事態の繰り返しでないか。寒くなっても痛みは出ない。国こそそんな健康な体づくりに心を砕かねば。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • オノデラ
  • web企画

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,400)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,277)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,225)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,137)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (807)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。