三笠市は23日、三笠市民会館で慶応義塾大大学院メディアデザイン研究科教授の岸博幸氏を招き、講演会を開いた。岸氏は「コロナ後の日本経済を考える」をテーマに講演。今後の日本経済から、市の地域活性化について見解を述べ、コロナ後は「地域経済を元気にする地方再生の絶好のチャンス。やる気がある地域は生産性を上げ、明るい将来をつくる」と強調した。
毎年各分野から講師を招く講演会。10回目のことしは、元経済産業省官僚で政治・経済に関する評論でテレビ番組に出演する岸氏が講演。221人の市民が耳を傾けた。
岸氏はこの1年続いたWithコロナについて「いかにきょう、明日を乗り切るかで振り回されてきたが、ワクチン接種が拡大すれば、今後どうビジネスにつなげるか、自治体はどう地域を活性化させるか、準備を始めるタイミングが近づきつつある」と予測。
コロナ後の経済社会は「百年に一度の疫病で、非常にレアな外的ショックを受け、大きな構造変化をもたらすだろう」とし、地方創生の観点から「昨年1年間でも在宅勤務や遠隔勤務、学校の遠隔授業、遠隔診療が進み、ことし9月にはデジタル庁がスタートする。デジタル化は今後20年急速に進む」と断言した。
もう一つの重要な変化として、在宅勤務や遠隔勤務の導入による「価値観の多様化」を挙げ、「東京を引き払い、山梨や埼玉、長野などに住まいを移す人が増えている。都市部より地方に活性化のチャンスが訪れている」と説明した。
三笠市については「炭鉱衰退で人口は1万人を切ったが、ジオパーク、石炭、高校生レストランなど魅力的な文化があり、札幌にも通勤圏内にあるなど、いいものをたくさん持っている」と分析。その上で「自治体がしっかり地域活性化に取り組み、地元住民がそれを後押しすることが必要だ」と訴えた。(岩見沢)
(北海道建設新聞2021年3月25日付12面より)