日鉄防食のTP工法が室蘭港崎守埠頭6号岸壁で採用

2021年04月06日 15時00分

 日鉄防食(本社・東京)のチタンカバー・ペトロラタム被覆(TP)工法を採用した室蘭市発注の室蘭港崎守地区崎守埠頭6号岸壁防食工事が完了した。岸壁の上部を支える鋼管杭をペトロラタム系防食剤で被覆し、チタンの保護カバーで固定して防食する工法で、優れた耐久性を持つ。室蘭港の公共埠頭では初採用。市は「有用性が確認できれば今後も採用し、室蘭港の施設長寿命化に生かしたい」と話している。

TP工法による防食(室蘭市提供)

 崎守埠頭6号岸壁は、ガントリークレーンを有するコンテナヤードとして延長330m、水深14mを1996年度に整備。現在はコンテナ船のコンテナや鋼材の荷役に使われている。

 岸壁は根入れ式鋼矢板セル構造で、全体で96本の鋼管杭を設置しているが、老朽化や海水による腐食が進み、うち2本について2016年度の点検診断で対策を講じる必要があると判断。工事は木島建設が担当し、20年11月に始まり、3月19日に完了した。

 ペトロラタム系防食剤による鋼管杭の被覆では、一般的にFRP製の保護カバーなどが用いられるが、TP工法では保護カバーにチタンを使う。チタンは海洋環境ではほとんど腐食せず、波浪や漂流物による耐衝撃性も高い利点がある。

 耐久性は50年程度に伸び、マイクロプラスチックの懸念がないなど環境面でも優れている。初期建設費用はFRP製保護カバーを使った工法と変わらないという。

 道内の公共埠頭では、室蘭開建発注の苫小牧港西港区北埠頭マイナス7・5m岸壁改良(五洋建設)や釧路開建発注の釧路港マイナス14m岸壁A部本体(岩倉建設・渡辺建設工業共同体)などで施工実績がある。

 室蘭港では日本製鉄室蘭製鉄所構内、原料ヤード桟橋となる18、19バースの鋼管杭、19バース先端の綱取りドルフィン鋼管杭にそれぞれ施工している。

(北海道建設新聞2021年4月5日付3面より)


関連キーワード: 港湾 胆振

ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 古垣建設
  • 川崎建設
  • 北海道水替事業協同組合

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,389)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,276)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,255)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,098)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (918)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。