建設現場の処理需要 幅広く対応
大伸(本社・札幌)は、南幌町に無機性汚泥のリサイクルセンターを開設した。杭工事や推進工事で発生する建設汚泥を受け入れ、凝集剤を添加しながら成分を改善後、脱水処理して再生土にする。再生土は発注機関やゼネコンに販売し、埋め戻し材、路床など土木資材として使ってもらう。高含水率の汚泥に特化したリサイクルセンターで、同社としては札幌市厚別区の山本、北広島市大曲に次ぐ3カ所目。太田直孝社長は「低含水率から高含水率の汚泥まで、効率よく処理できる体制が整った」と話している。
産業廃棄物の中間処理・保管施設として、南幌工業団地で4月に開設。調整槽や反応槽、脱水機などを納める建屋のほか、天日乾燥用の施設を備える。
既存の大曲リサイクルセンターは泥土と呼ばれる低含水率の建設汚泥を処理し、山本リサイクルセンターは高含水率の建設汚泥を扱う。高含水率の建設汚泥は処理に手間と時間がかかるため、含水率85%以上の建設汚泥を受け入れる南幌リサイクルセンターを新設することで、建設現場の処理需要に幅広く対応できるようにした。
1日当たり29・2m³の建設汚泥を脱水処理できる。乾燥施設は2槽あり、合計47・8m³を受け入れ可能だ。高含水率に特化した施設のため、処理物は土よりも水が多く、再生土の生産割合は含水率85%の汚泥で約20%、含水率95%の汚泥は約9%になるという。
センターでは、現場から吸引車で運んできた建設汚泥を調整槽に下ろし、性状やPH、比重などを確認する。その後、凝集剤を添加して反応槽へ移し、簡易脱水装置で含水率60―70%まで改善する。脱水処理した汚泥はダンプで乾燥施設に移動し、天日干しして再生土に生まれ変わらせる。
同社は2000年ころから無機性汚泥のリサイクルに取り組み、低含水から高含水まで、さまざまな建設汚泥の知識と経験を持つ。現場発の収集・運搬から再生土の販売に至るまで、事業の流れを全て抑え、ワンストップで対応できるのが強みだ。
太田社長は「低含水率から高含水率までユーザーの選択肢を広げることで、現場の困りごとに幅広く対応したい」と話している。
(北海道建設新聞2021年5月11日付3面より)