準備整い次第着手 財政局は入契で先行実施
札幌市は押印の見直しについて、各部局で対象の洗い出し作業などを進めている。条例改正などが必要なものは準備が整い次第着手するなど、随時見直しを推進する方針だ。財政局では工事等入札・契約手続きなどで先行実施していて、取り組み内容の周知を通して定着につなげる。ただ、現在は市内での新型コロナウイルス感染急拡大に伴い、保健所の応援体制強化に全庁挙げて取り組んでいるため、思うように進んでいない状況もある。
新型コロナの感染拡大を契機に、地方公共団体は従来の書面、押印、対面を前提とした制度や運用の見直しを国から求められている。
財政局では、3月から物品・役務契約で契約書や入札書、委任状などを除き、参加資格審査確認申請書など大半の契約等文書で押印を省略。工事等入札・契約手続きでも工事の着手届などでの省略を4月から開始した。
総務局は、押印義務の見直し指針を各部局に通知。国の方針に準じた内容で、各部局での押印省略対象の洗い出しを求めている。指針では市の条例や規則のほか、慣行で押印を求めている手続きに関し、①押印を求める趣旨の合理性②趣旨を達するための代替手段―という2つの基準で見直しを判断するとした。
本人確認を趣旨とする押印について、本人確認の方法は多数存在することから認め印での確認効果は小さいと判断し、原則廃止との考えを示した。登記印や登録印についても印鑑証明書などで照合していない場合は、押印義務付けの廃止や印鑑証明書などの提出を求めることも検討する。
代替手段としては、既存システム利用などに伴うID、パスワードによる認証や、登録した電子メールアドレスからの受信などで確認することを挙げた。このほか、署名の見直しについても検討する。
条例で押印の必要性が明記されているもので、省略が可能だと判断したものについては条例改正などにより順次省略。規則などで規定されているものも調整が整い次第随時押印の見直しを進める考えだ。
先行して取り組みを進める財政局では、工事等入札・契約でも大きな混乱は生じていないとみていて、今後は取り組み内容の周知などに力を入れる方針だ。
(北海道建設新聞2021年5月20日付14面より)