室蘭市は、室蘭港港湾計画素案をまとめた。物流拠点としての機能強化と大型クルーズ船による交流拠点づくりを柱とし御崎、築地、本輪西地区での岸壁新設を盛り込む。御崎地区は立地企業の物流効率化、室蘭と東室蘭の両市街地との往来を考慮し耐震強化岸壁(特定)とし、水深12m、延長230mの1バースを新設する。31日に開かれる室蘭市地方港湾審議会で審議し、6月の国の交通政策審議会港湾分科会で承認されれば27年ぶりの改定となる。
1994年の改定以来、フェリーの廃止と復活、製油所の原油処理停止、国内最大級の木質バイオマス運転開始、脱炭素社会など同港を巡る状況は大きく変化。素案では現行計画を縮小した。
港内の各地区は御崎、仲町、茶津が製鉄、鉄鋼、機械、航空機産業などの基幹産業を支える大型貨物船を含む船舶利用。崎守はコンテナ、石材などの貨物、築地は米や肥料の輸入、金属くずなどのリサイクル貨物輸出など多目的の利用を描く。
陣屋、本輪西は、石油やLPG、バイオマスなどの貨物利用、洋上風力発電、水素など新エネルギー関連の活用も視野に検討する。入江はフェリー旅客、観光施設が集積する祝津絵鞆は白鳥大橋の桁下を通過できない大型クルーズ船の着岸や市民や観光客のレクリエーション利用を図る。
御崎地区の耐震強化岸壁新設は、専用岸壁の日通埠頭を公共岸壁に変更。背後に埠頭用地4・2haを新設するほか、工業用地6・8haを確保し、臨港道路御崎埠頭幹線も整備する。岸壁前面には航路・泊地11・4ha、泊地1・1ha、幅180mの航路新設を進める。
築地地区では水深12m、延長230mの1バース岸壁新設を計画。旧式の櫛型形状岸壁を解消するため西1号、西2号埠頭間を埋め立て、背後に用地3・8ha、岸壁前面には航路・泊地20・6ha、泊地1・1haの整備などを計画する。
本輪西地区では水深11m、延長190mの1バース岸壁新設に取り組む。専用岸壁の本輪西埠頭を公共岸壁に変更し、背後に用地5・4ha、岸壁前面に航路・泊地8・9haの整備を検討する。
崎守地区では、緑地0・8haを港湾関連用地に変更、港湾関連用地として計画していた3・2haを荷さばき地拡張に向けて埠頭用地とする。現行計画に盛り込んでいた水深10m岸壁は削除した。
(北海道建設新聞2021年5月31日付4面より)