ウッドショック同様 コンテナも不足
RC造建設に不可欠な型枠材料が不足している。新型コロナウイルスの影響で型枠用合板の輸出国となるインドネシアやマレーシアの生産力が落ちているためだ。住宅市場のウッドショックと同様、コンテナ不足も影響。補強で型枠の周囲や中間に使う桟木(さんぎ)も、住宅分野の製材需要に引っ張られる形で供給不足に陥っている。取引価格も上昇傾向にあり、道内の型枠工事会社の多くが先行きに不安を抱えている。
「普段ならトラックいっぱいに持ってきてもらうが、最近は半分ぐらいしか仕入れられない」「毎週値上がりしている。異常だ」「海外の事情もあると聞き、確かな状況が見えない」(いずれも道内の型枠工事会社)。
型枠はコンクリートを流し込むための器。主にRC造の柱や梁を作るために使われる。施工図面と照らし合わせながら、加工場で合板と桟木を切断し、パネルに組み立てる。
型枠用合板は主に広葉樹から作られ、インドネシアやマレーシアで製造された輸入品が多い。近年は原木の伐採規制が強まっているほか、環境保護団体の監視の目も厳しく、従来のように合板を柔軟に調達することは難しい。そこに新型コロナの影響が加わり、需給の切迫感は一層高まったという。
札幌市内の合板販社は「商社に注文しても受けてくれない。マレーシアは14日までロックダウンの予定で、現地の合板工場も動いていないと聞く。いつまで続くか、先行きが不安だ」と嘆く。
世界的なコンテナ不足も影響する。巣ごもり需要の増加などで輸送量が増えているほか、作業員やドライバーが足りずコンテナ回転率は低下している。運賃も上昇傾向が続き「たとえ合板を手配できたとしても、とんでもない高い値段になるだろう」(建材商社)とみている。
価格は右肩上がりで推移する。経済調査会のまとめによると、いわゆる〝サブロク板〟と呼ばれる幅900×長さ1800㍉の取引価格は、札幌市内で1枚当たり1300円を付ける。昨年末まで1100円台だったが、年明けから値上がりがやまない。
桟木は、住宅市場のウッドショックで国産の製材需要が高まっているため、型枠用に回ってくる分が限られ、合板と同様に供給不足の状況。セパレーターと呼ばれる型枠を固定するための金物も、最近の鋼材価格の上昇からコスト高にある。
型枠用合板は2回ほど転用が効くものの、おおむね1現場で使い切りになるため、低層が中心の公共物件では材料費の影響をもろに受ける。専門工事会社ゆえに、マンションなど中高層の建物で転用率を上げるといった自衛策には限界がある。
沢田工業(本社・札幌)の沢田信彦社長は「札幌市内が再開発でにぎわう中、工期に影響を与えないためには、多少高くても買えるときに在庫するしかない」と話し、施主やゼネコンなどに現状への理解を求めている。
(北海道建設新聞2021年6月10日付3面より)