普段はアンディ少年の遊び相手だが、実は生きていて動くこともできるおもちゃたちの活躍を描いた『トイ・ストーリー』(ピクサー/ディズニー)シリーズは大人が見ても楽しいCGアニメ映画である
▼2019年公開の4作目も主人公のカウボーイ人形ウッディと宇宙ヒーロー人形バズ・ライトイヤーの厚い友情が見どころだった。大人になった少年が2体を託した少女の家から、彼らの新たな冒険が始まるのだ。感動的な場面で主題歌「君はともだち」が流れてくると思わず涙腺が緩む。歌詞が真っ直ぐで力強い。こう始まる。「おれがついてるぜ おれがついてるぜ つらいことばかりでも きみはくじけちゃだめだよ おもいだせよ ともだちを きみのすぐそばにいる」
▼日本から台湾への電撃的なワクチン供与作戦が首尾良く成功したとの報を聞き、その歌を思い出した。最近になって新型コロナウイルスの感染が急拡大している台湾はワクチンの入手を中国に妨害され、窮地に陥っていたのである。日本としては「おれがついてるぜ」といったところだろう。もちろんこれは一方通行の話ではない。10年前の東日本大震災時、いち早く米国と並ぶ最大規模の義援金を送ってくれたのが台湾の人々だった。コロナ流行の初期には大量のマスクと防護服も提供してくれた
▼台湾も日本が困っているときにはいつも「おれがついてるぜ」とすぐに手を差し伸べてくれる国なのである。「おもいだせよ ともだちを きみのすぐそばにいる」。利害が複雑に絡む国際社会の中でそう言い合える友は得難い。