就寝してさほど時間がたっていないのに、ふと目が覚めてしまうときがある。つい先日もそうだった。気付くとカーテンの隙間から差し込む光が昼間のように明るい。しまった寝坊だと慌てて時計を見ると午前4時半。驚いて損をした
▼百人一首にも「夏の夜はまだ宵ながら明けぬるを雲のいづこに月宿るらむ」の歌がある。夕方と思っていたら夜が明けていたというのも大げさだが、感覚としてはとてもよく分かる。きょうは夏至。日の出から日の入りまでの時間が一年で最も長い日である。その分、夜は短い。現代歌人栗木京子さんの一首を思い出す。「さびしさに北限ありや六月のゆふべ歩けど歩けど暮れず」。寂しさを紛らせてくれる夜はなかなか訪れず、来てもすぐに終わるのである
▼札幌では例年、北海道神宮例祭(札幌まつり)のみこしが笛や太鼓を景気よく鳴らして街を練り歩き、夏至の先触れをしてくれていた。ところがことしもコロナ禍で中止。まったくもって季節感がぼやけること甚だしい。とはいえ夏至とくればいよいよ夏らしくなってくるはず、と期待する向きにはいささか残念なお知らせだろう。札幌管区気象台が17日発表した1カ月予報によると、今週は北からの冷たい高気圧の影響で平年並みかやや寒い日が多いという。ただ今月末からは一転、急に暑くなるというから、体がついていかないかもしれない。熱中症や体調管理には十分注意したいものだ
▼「冬至夏至けふは夏至なる月日かな」及川貞。きょうから冬至に向け昼が徐々に短くなっていくと思うと、少し寂しい気も。