連載が終わってもう見られないかと思っていたら、『週刊少年ジャンプ』(集英社)最新号の特別読み切りに現れた。オリンピックの年だけ眠りから覚める『こちら葛飾区亀有公園前派出所』(作・秋本治)のキャラクター日暮巡査である
▼今回は超能力を使って1964年に飛んだ日暮を両さんがタイムマシンで追う。オリンピック開会式前日の東京に着き、居酒屋に入った両さんが目にしたのは思わぬ現実だった。それはオリンピックに反対する人々の多さだ。「関係ない」「どうでもいい」と笑い飛ばす客たち。新聞には〝政府はそんなことをしている場合か〟〝まだ戦後19年なのに〟などの見出しが躍る。実際、当時のNHK世論調査でも国民の関心は高くないとの結果が出ていたと聞く
▼いつの時代にもそれなりの問題はあるということだろう。波乱、異例続きの東京2020五輪・パラリンピックもそう驚くには当たらないのかもしれない。一部競技は既に始まっているが、いよいよあす開会式である。「おもてなし」で沸いた招致成功の感激もつかの間、新国立競技場コンペ1位ザハ案の白紙撤回、公募エンブレムの盗作騒動、そしてコロナ禍と踏んだり蹴ったり。開会式を担当した音楽家が昔の暴行で辞任するおまけまで付いた
▼ただ、福島県で21日開かれた復興五輪を象徴する女子ソフトボールでは日本がオーストラリアに快勝。これまでの暗雲を振り払った感があった。『こち亀』は終盤で過去の東京五輪をこう描いている。開催して「日本中が勇気をもらった」。今大会もそうなるといい。