スーパーなどの売り場に並ぶ種々の食品トレー容器を製造販売するエフピコ(本社・福山、東京)は、障害のある人が数多く現場で活躍しているそうだ。『小さくてもいちばんの会社』(坂本光司、講談社)に教えられた
▼知的障害のある子どもの親の会「あひるの会」との交流から1986年に雇用を開始。特別に用意した仕事をあてがっているわけではない。全員が正社員として、製造の基幹業務に携わっている。その働きは雇用の受け皿になってきた特例子会社の社長をして「機械ですらミスが多く、彼らの仕事にはかなわない」と言わしめるほど。適切な場や機会があれば障害者がどれだけ力を発揮できるか証明する事例だろう
▼パラリンピックもそういった場や機会の一つに違いない。「彼らにはかなわない」と驚きと感動をくれるところも同じである。手足がない、目が見えない、体が自由に動かない―。気の毒との思いを拭えないまま見始めるのだが、途中から障害など全く気にならなくなっている。競泳、陸上、ラグビー、テニス、ボッチャ。全22競技539種目。選手たちのプレーを純粋に楽しんでいる自分がいた。観戦していたほとんどの人がそうだったろう
▼当初はリハビリを兼ねていたというが、現在はルールが細かく設定されているだけの普通のスポーツ競技会と変わらない。しかも障害を持つ人と持たない人が同じ社会で分け隔てなく暮らすにはどうすればいいかを示唆してもいる。東京2020パラリンピックが5日、閉幕した。多くの人が共生のバトンを受け取ったのでないか。