北海道の女性は強く、自立しているとの評判をよく聞く。比べたことはないが、道産子男性の一人としても特に異論はない。未婚率や喫煙率が47都道府県中、常に上位にいるのもそれと無縁ではなかろう
▼『札幌学』(岩中祥史、新潮文庫)はその辺りの事情を、「歴史の浅い北海道は、本土と違い『男性優位』という考え方がほとんど根づいていない」と解説する。男女の区別なく働いてきた開拓時代の名残である。男性から三歩下がっておとなしくしていては厳しい自然を克服することなどできなかったのだろう。「周囲の評判や過去の前例にとらわれない柔軟さ」を持ち、「思ったことをどんどん口にする」のも当たり前というわけ
▼そんな本道特有の男女の力関係も影響しているのでないか。積水ハウスが先週発表した「男性育休白書2021」で、本道男性の〈家事・育児力〉は47都道府県中41位と判定されたのである。幾つかの指標を使って順位を決めるのだが、特に女性からの評価が著しく低かった。男性が家事・育児に〈幸せを感じているか〉を自己評価する指標では本道も19位と好位置に付けている。一方で女性が評価を決める男性の〈実践数〉では41位、〈時間〉でも39位と及第点にはほど遠い
▼夫は頑張っているものの、妻の基準には達していないようだ。ちなみに上位3県は上から沖縄、鳥取、奈良。本道と沖縄は気質が似ているとされるが、家事・育児に関しては対極らしい。本道の女性は子育ても他の人に頼らずバリバリとこなすがゆえに、だめな男性をつくっているのかもしれぬ。