本道はきょう、一転して肌寒い気温になったものの、きのうは妙に暖かかった。イソップ寓話(ぐうわ)の「北風と太陽」よろしく、外を歩いていて思わず上着を脱がされた人も多かったのでないか
▼もう10月に入っているというのに、最高気温が札幌と帯広で27度、北斗で28度とまるで真夏のような気温。全くどうかしている。そういえばことしは、札幌で観測史上最長の連続18日間真夏日を記録した年でもあった。地球温暖化が進むと、気候の寒暖差が極端になるといわれている。影響が目に見える形で表れ始めているのかもしれない。この出来事も無関係ではないのだろう。主に襟裳以東の太平洋沿岸海域でサケやウニなどの大量死が相次いでいるのだ。原因は赤潮である
▼洗剤や肥料などの有機物が海に流入し、富栄養化して発生する赤潮は本道でも過去に例があった。ところが今回は、普段温暖な西日本の海にいるはずの「カレニア・ミキモトイ」という植物プランクトンが引き起こしたとみられている。道などのまとめによるとサケは全体で少なくとも8000匹以上、ウニは釧路や厚岸で80%を超える被害が出ているのだとか。売り上げの中心となる水産物だけに、直撃を受けた漁協の損害額はかなり大きなものになろう
▼カレニア・ミキモトイ自体は昔から対馬暖流に乗って日本海を北上してきていた。これまでは本道に到達しても低い海水温に耐えられず死滅していたが、近年は海水温の上昇で生息できる環境が整いつつあるようだ。この暖かさが招かざる客の居心地まで良くしているらしい。