抜本的対策着手に課題 札幌第1合同庁舎のアスベスト対策

2021年10月12日 15時00分

膨大な除去コスト、耐用年数など

 札幌第1合同庁舎のアスベスト対策が施設管理者を悩ませている―。建設時のモルタル仕上げで含有建材を使用したため、庁舎全体に遍在。ただ、平時は人が触れない建物の〝コア部〟にあり、飛散の恐れは低いという。国土交通省は未対策施設に対して必要な措置を求めているが、除去に必要な膨大なコスト、庁舎の耐用年数といった問題が抜本的な対策の着手を困難にしている。

1989年完成の札幌第1合同庁舎

 札幌市北区北8条西2丁目にある札幌第1合同庁舎(S一部SRC造、地下2地上18階塔屋1階、延べ5万3030m²)は1989年の完成。北海道開発局、北海道財務局、北海道労働局など主に国の出先機関が入居し、施設管理は道財務局、営繕工事などは開発局がそれぞれ担う。

 2013年に開発局が実施した調査で同庁舎のアスベストを再確認。その後、道財務局は毎年、飛散・目視調査をして人体への影響が低いことを認識している。

 開発局が維持修繕のために発注する庁舎改修がコア部まで達する場合は、施工者が安全に作業できるよう部分的な封じ込めなどの措置を講じてきた。

 国交省は9月、国家機関の建築物へのアスベスト使用実態に関する集計結果を公表。20年度末で17棟を数え、道内では札幌第1合同庁舎が該当した。

 道財務局の担当者は抜本的対策を施した場合、飛散防止措置によって通常の施設使用が困難になることや、施設の耐用年数を考えるとアスベスト除去の費用対効果が高くないと想定する。国交省公表の資料には22年度以降対策予定とあるが、先行きは不透明だ。

(北海道建設新聞2021年10月11日付1面より)


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