先の土曜日、いつもの散歩道である札幌市内の琴似発寒川に差し掛かると見事な紅葉が目に飛び込んできた。ちょうど見頃を迎えていたようだ。真っ赤なカエデや黄色いイチョウが、われこそはと存在を主張している
▼本道は平地での紅葉狩りシーズンたけなわ。久々にお出掛けして楽しんだ人も多かろう。ただ、この美しさも気温の低下と引き換え。紅葉きたりなば冬遠からじ。翌日は嫌でもそれを感じさせられた。「もみぢ葉はおのが染めたる色ぞかしよそげに置ける今朝の霜かな」慈円。霜が自分で赤く染めたもみじなのに、今朝は何事もなかったように白く染めているというのである。冷え込んだ朝の情景が浮かぶ
▼日曜日がまさにそんな様子だった。急に訪れた寒さに震えた人も少なくなかったのでないか。日本の上空に強い寒気が入り込み、道内ほとんどの地域で今季最低気温を記録した。旭川と稚内では共に平年より2日、網走では13日早く初雪を観測している。札幌でも手稲山の初冠雪が見られた。ついこの間まで半袖で額から汗をしたたらせていたのに、気付けばコートの前をしっかりとかき合わせている。毎年のこととはいえ、本道の季節はせわしない
▼屋外で作業している方々は特に大変だろう。ジェットコースターのような気温に体がついていくまい。この時期が最も体調を崩しやすいのである。新型コロナは一段落だが、今季はインフルエンザの大流行が懸念されている。「鼻から管紅葉が窓にぐにゃぐにゃ」十河宣洋。そんな紅葉狩りは避けたいものだ。どうか体調管理には万全を。