車両漂流メカニズムを解明へ 東京理科大と北見工大

2021年10月22日 15時00分

洪水時のリスク洗い出し

 豪雨災害の洪水流による車両漂流メカニズム解明に期待―。東京理科大、北見工大地域と歩む防災研究センターは14日、北見市内のオホーツク地域創生研究パークで、実車両を用いた漂流実験を公開した。洪水流発生時の実車両周辺の水深や流速などをデータ分析することで、洪水時の自動車利用リスクなどを洗い出す。

実車両を用いた実験の様子

 近年の豪雨災害では、河川氾濫被害の一つとして、自動車が走行中に洪水流に巻き込まれたまま流され、乗員が車中で水死する事例が発生している。

 洪水流に巻き込まれた実車両の漂流発生条件を解明するため、これまで小型の車両模型を使った室内実験は実施されているものの、いまだ不明点が多く、洪水時の自動車利用リスクの認識が十分に浸透していない。

 両大は、オホーツク地域創生研究パーク内にある延長70m、幅3・3mの屋外大規模水路に排水ポンプで水を流し、洪水流を再現。実物車両を用い、漂流メカニズム解明に向けて車両回りの流速や水深、車体傾斜といったデータを取得することにした。

 この日は東京理科大理工学部土木工学科の小野村史穂助教や北見工大地域と歩む防災研究センターの川尻峻三センター長らが実験を担当。自然災害に強い地域づくりを目指す技術開発研究などで、同センターと連携協定を結んでいる網走開建北見河川事務所などが協力した。

 開始に当たり、小野村助教は「洪水流に対する漂流発生条件の解明や、洪水流発生時の実車両周辺の流況などを把握することで、自動車利用リスクを明確にし、身を守るための注意喚起につなげたい」と話した。

 実験では、屋外大規模水路内に全長3・8m、全幅1・6m、重量990㎏の5人乗りコンパクトカーを設置。2台の排水ポンプを使い、徐々に流量を上げ、水路縦断方向の水深や車両回りの流速、車体傾斜などのデータを測定した。(北見)

(北海道建設新聞2021年10月21日付7面より)


関連キーワード: オホーツク 災害・防災

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