本道の太平洋沿岸で発生した赤潮が原因とみられる漁業被害は拡大の一途をたどっている。道が18日現在でまとめたところ、総額は76億円に達していたそうだ。21日、新たに立ち上げた「道太平洋沿岸漁業被害対策会議」で明らかになった
▼漁業を基幹産業の一つにする釧路地方と根室地方では特に被害が深刻だ。ウニや秋サケといった本道を代表する人気商品が、壊滅的打撃を受けたのだからたまったものではない。大量の有害なプランクトンが赤潮を発生させたのは疑いないが、それがどこから流れてきたかはまだ明確には分かっていないようだ。自然の振る舞いは人知を超えている
▼こちらも種類は違うとはいえ、やはり海の不思議と呼ぶほかない。日本列島北端の本道が赤い生物に苦しめられているまさにこのとき、西端の沖縄は白い物体に悩まされているというのである。小笠原諸島の海底火山噴火で、沖縄本島などに大量の軽石が流れ着いているのだ。幾つかの港はほぼ完全に埋め尽くされてしまった。噴火が発生したのは8月13日。どうやら明治以降では国内最大規模の噴火だったらしい。この噴出物が軽石となって海流に乗り、2カ月ほどかけて沖縄や鹿児島の沿岸に運ばれてきたのである
▼ニュース映像を見ると、灰色の新たな陸地ができたようだ。特異な現象だと感心してはいられない。地元ではエンジンに軽石が入り込むため漁船を動かせず、仕事は上がったり。観光業にも悪影響が出ている。赤と白といえば通常はおめでたい組み合わせだが、こればかりは一日も早く消えてもらいたい。