脱石炭火力発電

2021年11月11日 09時00分

 欧州で流行するオーガニック(有機)農業に憧れて日本で安易に野菜栽培を始めた結果、病気と虫害で作物が全滅した上、近隣の畑にまで被害が広がったという話を以前聞いたことがある。知識と経験の不足は時に深刻な事態を招く

 ▼日本は欧州と異なり湿度が高く温暖なため、病害虫や雑草がはびこりやすい。農薬や化学肥料を適切に使うことで収穫量を安定させ、農業経営を持続可能なものに変えてきたのである。理想を掲げるのもいいが、何もかも失っては意味がない。地球温暖化の一因とされる石炭火力発電への最近の異様な非難にも、行き過ぎた有機農業と同じにおいを感じるのは筆者だけだろうか。日本国内にもそれと同調して即時廃止を訴える動きがある

 ▼木を見て森を見ずとはこのことだろう。確かに日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多い。とはいえ全体の3%である。1位の中国は28.4%だ。しかも日本の最新石炭火発は優れた高効率技術を持ち、排出量は世界平均より4割も少ない。今冬の日本の電力事情は過去10年で最も厳しいとされる。構造的な問題のため当分はこの状況が続く。原油は高騰、LNGは調達困難、使えるはずの原子力発電は「塩漬け」。この上石炭火発廃止など自殺行為に等しい

 ▼ことし2月の米テキサス州大寒波の停電では111人の凍死者が出た。もし厳冬期の本道でブラックアウトが起こったらと考えると恐ろしい。フランスはじめ欧州は脱炭素化のため原発推進にかじを切りつつある。石炭も原子力も農薬同様、大切なのは使い方とバランスだろう。

 欧州で流行するオーガニック(有機)農業に憧れて日本で安易に野菜栽培を始めた結果、病気と虫害で作物が全滅した上、近隣の畑にまで被害が広がったという話を以前聞いたことがある。知識と経験の不足は時に深刻な事態を招く

 ▼日本は欧州と異なり湿度が高く温暖なため、病害虫や雑草がはびこりやすい。農薬や化学肥料を適切に使うことで収穫量を安定させ、農業経営を持続可能なものに変えてきたのである。理想を掲げるのもいいが、何もかも失っては意味がない。地球温暖化の一因とされる石炭火力発電への最近の異様な非難にも、行き過ぎた有機農業と同じにおいを感じるのは筆者だけだろうか。日本国内にもそれと同調して即時廃止を訴える動きがある

 ▼木を見て森を見ずとはこのことだろう。確かに日本の二酸化炭素排出量は世界で5番目に多い。とはいえ全体の3%である。1位の中国は28.4%だ。しかも日本の最新石炭火発は優れた高効率技術を持ち、排出量は世界平均より4割も少ない。今冬の日本の電力事情は過去10年で最も厳しいとされる。構造的な問題のため当分はこの状況が続く。原油は高騰、LNGは調達困難、使えるはずの原子力発電は「塩漬け」。この上石炭火発廃止など自殺行為に等しい

 ▼ことし2月の米テキサス州大寒波の停電では111人の凍死者が出た。もし厳冬期の本道でブラックアウトが起こったらと考えると恐ろしい。フランスはじめ欧州は脱炭素化のため原発推進にかじを切りつつある。石炭も原子力も農薬同様、大切なのは使い方とバランスだろう。


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