4日で道内での高速道路開通から50年の節目を迎える。最初に供用となったのは札樽道小樽IC―札幌西IC間と道央道北広島IC―千歳IC間の計47.2km。4日は千歳ICで記念セレモニーを催すほか、道央道輪厚PAと札樽道金山PAで記念グッズを配布するなど、各種イベントを予定している。
翌年に冬季札幌五輪を控えた1971年12月4日、本道初の高速道路が開通した。半世紀をへて、東日本高速道路北海道支社が管轄する区間は719.6km、直轄区間を合わせると1180.1kmとなった。同支社管轄の累計利用台数は約19億台に上る。
長内和彦支社長は「これからも高速道路を安心・安全に使っていただきたい。そのため、計画的にリニューアル工事を推進し、老朽化を食い止めたい」とし、「これ以上延長するというよりも、今ある区間をどう手厚くしていくか」と今後の方向性を示す。最も古い区間で50年、それ以外の区間でも当初計画より交通量が大幅に増えて劣化速度が早まり、対応が急がれている。
老朽化対策として力を入れるのは、構造物の大規模更新・修繕などのリニューアルだ。例えば橋梁では、ひび割れや剥離の進行した鉄筋コンクリートの床版を、より耐久性の高いプレストレストコンクリート床版に取り換えるなどの補修を施している。
暫定2車線区間の4車線化も進む。災害時を見据えた強靱化や渋滞の発生率減少を目的に、道内では優先順位の高い道東道から実施。道東道の4車線化は2019年3月から3年連続して、占冠IC―十勝清水IC間の3カ所計32.6kmで事業許可が下りている。21年度には、最初に許可が下りたトマムIC―十勝清水IC間9.5kmの本体工である清水工事に着手。続く新得工事も発注済みだ。
利便性向上などで地元からの期待が大きいのは、ETC利用者が通行できるスマートIC。道内には砂川、輪厚の2カ所がある。20年10月に道東道音更帯広IC―池田IC間で仮称・長流枝スマートICの事業許可が下りた。21年8月には道東道トマムIC―十勝清水IC間の仮称・新得スマートIC設置のための準備段階調査着手が決定した。
冬道の安心・安全確保も高速道にとって重要な課題だ。同支社は、準天頂衛星システム「みちびき」を活用したロータリー除雪車自動化の研究を進め、担い手不足への対策の一つと位置付ける。22年度には技術を完成させ、本線での除雪に順次導入したい考えだ。
このほかにも中央分離帯にワイヤーロープ防護柵を設けるといった安全対策など、今ある高速道路をより安心安全に、より快適に利用できるようさまざまな取り組みを実施している。
高速道路の役割について長内支社長は「道内の物流・観光を支え、災害時には命の道として地域を支える」とあらためて示し、「普段から楽しんでいただけるような取り組みを進めたい」と意欲を見せる。
(北海道建設新聞2021年12月3日付1面より)