建設業の魅力、積極的発信を 全国建設青年会議パネル討論

2021年12月09日 15時00分

 3日に開催した第26回全国建設青年会議では、「今改めて考える、建設業の魅力とは」をテーマにパネルディスカッションを開催し、担い手確保や情報発信について有識者が意見を交えた。

1時間にわたって建設業の在り方を議論した

 パネリストは大石久和氏(全日本建設技術協会会長)、新井恭子氏(建設ディレクター協会理事長)、萩原一宏氏(北海道建青会会長)の3人。

 コーディネーターは荒木正芳氏(荒木コンサルティングオフィス代表)が務めた。

■人材確保の突破口

 荒木 担い手不足は全国的課題。若者だけでなく、指導するベテラン、第一線で働く技能者も足りない。この状況をどう打開すべきか。

 萩原 帯広二建会が実施した高校生への調査では、建設業そのものに対する理解不足を感じた。1社ではなく、地域や業界と盛り上げ、若者に建設業と地元で働く魅力を伝える意識が必要かと。

 新井 全国の工高の先生に聞くと企業と同じ悩みを持っている。それはいかに建設に興味を持って学校に入ってもらうか。学校と企業の連携できる場がもっとあれば良いと思う。

 大石 土木も今やデジタルや3次元といわれ、われわれも世界の一部なんだと感じられる時代が来た。そんな魅力を伝えられたら打開できるのではないか。

 新井 建設業には多様な人が働ける場所がある。コロナ禍で、働いていたホテルを辞め建設業に入った人に聞くと、地元の自然災害で建設業の重要性に気付き「次に働くならここだ」と思ったそうだ。人によっていろいろな切り口がある。

■災害対応PR必要

 荒木 災害対応は建設業の欠かせない仕事だが、このやりがいをどう伝えるべきか。

 大石 災害があるとメディアでは自衛隊が活躍しているように見えるが、実際に土を一番動かしているのは地元の建設業者。その存在があるから復旧や救急もできることを社会にPRすべきだ。

 萩原 地域経済や生活を守ることに技術者はやりがいを感じているが、もっと感じてほしい。感謝される仕事だし、その感謝を建設業で働く人に伝わる仕組みがあればと思う。あとは多様な人材が働ける点も魅力。新井さんが挙げたような事例を広める活動も必要だ。

 荒木 災復など建設業の作業が国民の目に届かないもどかしさはある。情報発信の方法はどうあるべきか。

 大石 今はユーチューブなど自分で発信できるツールが発達している。取り上げられないと嘆くのではなく、自ら発信することが大事だ。

 萩原 われわれは地域に根差した建設会社。SNSに取り組みながら、地元の学校に足を運ぶ機会も必要となる。

 新井 工高の先生からリモート現場見学会をしてほしいという声がある。建設業の魅力を伝える上で重要なイベントだが、今はコロナ禍で難しい。3年前に全国数カ所をリモートでつないだ見学会は時間を延長するほど盛況だった。遠隔臨場の現場で実現できたらと思う。また映像なら、親や一般人に建設業を知ってもらう機会につながる。

■建設業の在り方は

 荒木 今の若者は地元志向が強い。転勤がリスクになる中で地域の建設業は良い受け皿となる。最後に建設業の目指すべき方向性を聞きたい。
 萩原 世の中は楽しい仕事を選びたい人が増えている。地域の生活や経済を守る先に建設業の楽しさがある。そこに焦点を当て、若い人に伝えていきたい。

 新井 女性に人気の高い仕事は医療事務。病院は全国にあり、夫が転勤しても再就職しやすいからだ。建設業にもバックオフィスで働ける場所があると知ったら、多くの人が来るのではないか。

 大石 ヒューマン(人)の語源はラテン語で土という意味。ヒューマニズムは土主義であり、土木の意義はこれに尽きる。それをどこかで感じてくれたらと思う。

(北海道建設新聞2021年12月8日付4面より)


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