焼津漁港でカツオ窃盗

2021年12月09日 09時00分

 煮て良し、焼いて良し、締めて良しのサバは今も変わらぬ人気の魚だが、「サバを読む」という言い回しは最近あまり聞かなくなったように思う。昔はテレビなどで女優が自分の年齢を言うと、画面のこちら側では「あの女優さん、かなりサバ読んでんじゃないの」とよく冷やかしの声が飛んだものだ

 ▼大量に取れ、しかも傷みやすいサバを数えるときは早口になったため、勘定と実数が合わなかったのが由来らしい。サバとしては文句の一つも言いたいところだろう。人間が都合よく数字をごまかすのに勝手に名前を使われてはかなわない。ただ、利用されていたのはサバだけではなかったらしい。このところ世間をにぎわせているのはカツオである

 ▼冷凍カツオの水揚げ量日本一を誇る静岡県の焼津漁港で少なくとも20年前から、漁協職員が水揚げ量をごまかし、窃盗行為を繰り返していた。組織的な犯行だったようで、静岡県警が先月までに漁協職員と水産加工会社幹部、運送会社社員ら7人を逮捕している。揚がったカツオは通常、漁協で計量してから倉庫に入れられるが、職員は計量担当の者とも共謀し、一部を計量しないまま横流ししていたそうだ。水産加工会社は濡れ手で粟(あわ)の大もうけ。職員らは見返りに報酬を得る構図である

 ▼報道によると、焼津漁港で水揚げされたカツオが消えるのは半ば公然の事実だったという。うわさは30年前からと話す関係者もいると聞く。だとすれば不正は代々続いてきたわけで、闇は相当に深い。サバを読まれたカツオはいったいどれだけの量になるのか。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 東宏
  • 北海道水替事業協同組合
  • 古垣建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,365)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,256)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,208)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,124)
藻岩高敷地に新設校 27年春開校へ
2022年02月21日 (799)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。