自然豊かな富良野に暮らす親子の姿を描いたテレビドラマ『北の国から』(倉本聰原作・脚本、フジテレビ)に、こんな回があったのを覚えている人も多いのでないか
▼田中邦衛演じる黒板五郎の長男純と叔母雪子が冬に車で出掛けたものの、途中で突然の大雪に見舞われ遭難してしまう。現地までの道は雪で埋まっている。困った五郎は知り合いの老人に馬そりを出してもらい、凍死寸前の二人を救出するのである。本道の冬にありがちな短時間で一気に積もる雪の怖さを物語るエピソードだろう。雪に埋もれてしまう危険は今も昔とそう変わらない。田舎道だけでなく、住宅地でも事情は同じである。昨年末からしばらく続いた降雪で家に閉じ込められそうになった人もいたに違いない
▼とはいえ最近は家庭用の除雪機が普及し、家の周りの雪処理はずいぶんと楽になった。当方もかつて岩見沢の実家へ除雪の手伝いに行っていたとき、よく使っていた。コツさえつかめば非力な女性や高齢者にも簡単に扱える。ただ事故がないわけではない。本格稼働期に入り、道経済産業局が安全な使用の呼び掛けを始めた。本道ではこの10年間に10人の死亡・重傷事故が発生しているそうだ。軽微な事故は相当な数に上るはず。ほとんどが高齢者である。安全装置を解除したまま作業し、何かの拍子に回転刃に巻き込まれる例が多いという
▼地域からマンパワーが失われつつある昨今、機械に頼る傾向はますます強くなろう。自然派の五郎さんも今ならスコップより除雪機を手にしたかも知れない。正しい使い方をぜひ。