東京の南方約1300㌔沖合に位置する海底火山「福徳岡ノ場」が噴火したのはまだ記憶に新しい。発生は去年の8月13日だったが、10月頃に火山から吐き出された膨大な量の軽石が沖縄や鹿児島などへ次々と漂着し、一部の漁港やフェリー航路を埋め尽くした。今まで見たことも聞いたこともない事態に困惑は深まるばかり
▼明治以降の日本で最大級の噴火とされ、噴煙はおおよそ16㌔の高さにまで上昇したそうだ。火山爆発指数(VEI)という火山爆発の規模を示す世界共通の指標がある。噴出物の量で区分するもので段階は0から8まで。値が一つ上がるごとに規模は10倍になる。「明治以降の日本で最大級」の福徳岡ノ場で4だった
▼南太平洋の島国トンガで15日発生し、日本にも津波をもたらした海底火山の噴火は今のところVEI6とみられている。福徳岡ノ場の100倍の規模だ。〈並外れて巨大〉を意味するコロッサル級に相当する。過去1万年を振り返っても40件ほどしか起きていないらしい。気象衛星「ひまわり」の画像で噴煙の爆発的拡大をご覧になった人も多いのでないか。今回は最大で半径200㌔以上、高さも20㌔に達したようだ。北海道が丸ごと覆われるくらいの巨大さである
▼心配なのは遅れて出る環境への影響だろう。前回のVEI6、1991年フィリピン・ピナツボ火山噴火の2年後、噴煙による冷夏で日本のコメは壊滅状態に陥った。トンガは南半球のため今度は別の国が被害を受ける可能性がある。困ったときはお互いさま。今から支援の心づもりをしておきたい。