エッセイストの北大路公子さんは数年前から、「次に何が壊れるか選手権」を開いているそうだ。会場は自分の脳内。家の中で次に壊れそうな物を予想する大会だという
▼きっかけは家電が立て続けに故障したことだったらしい。誰しも経験のあることでないか。家電でも車でも10年を過ぎたころから申し合わせたように次々と不具合が起き、痛い出費が続く。メーカーが仕掛けでも施しているのかと疑うほどである。エッセーは題名を「よねー予想」という。なぜこんな題名なのかというと、故障して販売店に問い合わせたとき、「部品はもう製造中止になっちゃってるんですよねー」と、問答無用の「よねー」が必ず末尾に付いてくるからだそう。なるほどそうかもしれない
▼ところで最近の札幌でもこの「よねー」が幅を利かせている。「大雪で列車が動かないんですよねー」「重い雪が一気に降ったため除排雪が追いつかないんですよねー」といった具合。現実の受け入れを迫られる点は家電と変わりない。JRの列車はほぼ通常運行に戻ったものの、道路の渋滞はいまだ解消されていない。所によっては3車線の道路が1車線に狭まっていたりするのだから進まないのも当たり前。道路脇の雪山が高く、見通しが極端に悪いため歩行者も戦々恐々だ
▼札幌市が除雪方法を変更したことへの文句も多く聞かれる。ただ、一番の原因はやはり降り方と雪質の問題だろう。人手不足が深刻さを増す中で除雪業者はよく頑張っている。「雪だから仕方ないよねー」。分かってはいるがもういい加減にしてほしい。