近年よく聞く「爆弾低気圧」は正式な気象用語でないが、経験した者にはしっくりくる呼び名である。今週前半、北日本から東日本にかけて広い地域を襲った低気圧がまさにそれだった
▼石川県には短時間で一気に降る雪への警戒を呼び掛ける「顕著な大雪に関する気象情報」が発表され、本道も特に道央と道南、胆振・日高、網走方面が暴風雪に見舞われた。函館江差道では一時150台以上が立ち往生したという。札幌でも歩いていると飛ばされそうな風雪が吹き荒れた。ほうほうの体で屋内へ逃げ込んだ人も少なくなかったろう。爆弾は温帯低気圧の一種で、南からの湿った暖かい空気が寒気にはばまれ急速に発達する。暖気がエネルギーを増す冬から春にかけて発生する例が多い
▼やっかいなのは何日もかけて北上してくる台風と違い、どこでどのくらい大きな爆弾ができるのか直前まで分からないことだ。当然準備もままならない。気象庁のサボりではなく、最新の技術を駆使しても予測ができないのだ。「汽車が汽車待って吹雪の底の駅」堤湖舟。列車の全面運休はことしに入って何度目か。文句の一つも言いたくなるがこれはもう仕方ない。新千歳空港で欠航が相次ぎ、道路で事故が多発する状況では何より安全優先である
▼除排雪を担う建設業者も苦戦しているようだ。前回の大雪の処理も済まないうちにまたこれである。除排雪は雪国の生活の要。自治体は費用含め一層の支援に努めるべきだろう。爆弾はいつどこで発生するか分からないが、これからも襲ってくることだけは間違いないのだ。