トンネル内にケーブル敷設し北本連系線増設を
9日に東京都内で開かれた日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)主催のシンポジウムで、重点プロジェクトに選ばれた津軽海峡トンネルの報告があった。同トンネルは津軽海峡に新設する海底トンネルで道南圏と青森県を結ぶ。整備効果の一つに、新たに北本連系線をトンネルに敷設することで北海道が内包する再生可能エネルギーのポテンシャルを生かせることを挙げた。(関連記事4面に)
津軽海峡トンネルは、JAPICの提言プロジェクトのうち特に重点的に取り組む12のプロジェクトの一つ。戸田建設の神尾哲也常務執行役員土木営業統括部長が計画概要を報告した。2車線対面通行で原則的に自動運転車に限定する専用道路と貨物輸送の単線鉄道による併用トンネル1基を整備する計画で、延長31km、内径15mのシールドトンネルとし、概算事業費は7200億円を見込む。
整備効果について物流や交流人口の増加による経済効果のほかに、物流コストの低減を挙げた。大型車の場合、北海道―本州間で年間314億円削減されると試算した。
さらに自動車道で道南圏と青森県が結ばれるため、早くて安価な高速バスが新たに提供できることも示した。24時間の往来が可能になり、青函圏が一つのコミュニティーとして形成される。
国が2050年までの実現を目指すカーボンニュートラルに向けては、北本連系線をトンネルに敷設し、北海道の風力発電のエネルギーを本州に送電する考えを提示。
現在の北本連系線は、津軽海峡で青函トンネル内にケーブルを延ばし容量は90万kWある。連系線の増設で本州の大規模な需要と結束し、電力インフラの緊急時の強靱性も確保できるとした。
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