苫小牧市は再生可能エネルギー基本戦略案をまとめた。太陽光や風力など再エネを着実に導入し、CCUSの活用を継続しながら2050年のゼロカーボンを目指す。再エネ導入に当たっては、地元企業による設備の建設・維持管理など地場産業の振興も図る計画だ。
10日の市議会総合開発特別委員会で産業経済部港湾・企業振興課の担当者が説明した。
市は21年8月にゼロカーボンシティを宣言。50年のエネルギー需給と温室効果ガス排出量を分析し、ゼロカーボンシティ実現に向け、必要となる再生可能エネルギー導入量の目標と戦略をまとめた。
市内では大規模メガソーラーが苫東地域に設置されているほか、近年はバイオマス発電所の新設計画が相次いでいる。エネルギー消費量は産業部門が約7割を占め、うち自家発電によるエネルギー消費が約5割に上る。COの排出量は市内全体で約500万㌧となっている。
市は基本戦略を策定し、これまで取り組んできたカーボンリサイクルの促進や企業誘致などとの相乗効果を得ながら、ゼロカーボンシティの実現を目指す。脱炭素に向けたシナリオとして、再エネ電力の導入を中心に苫小牧の特色であるCCUSを活用した対策が必要とした。
再エネ別の導入ポテンシャルは、太陽光が1166㍗程度、風力が838㍗程度、バイオマスが267㍗程度、水力が数百㌔㍗などで、総量2271㍗程度と推計。これらの着実な活用、導入を図る。
再エネ導入施策として、①再生可能エネルギーの導入促進や有効活用②再生可能エネルギーの地産地消による地元産業の振興③カーボンリサイクル事業との一層の連携④民生部門の脱炭素化―を設定する。
具体的な取り組みを見ると、①の導入促進・有効活用では、導入ポテンシャルの高い工業団地・未利用地などのゾーニングをし、事業適地の見える化・集約化を図る。
②の地産地消・地元産業振興で、地域新電力の設立や地域マイクログリッドの導入を促進し、事業者の積極的な再エネ調達を実施。再エネ設備の建設や維持管理などを地元企業が担うことを想定している。また、再エネ100%の産業エリアでの企業誘致を促進する。
③のカーボンリサイクルとの連携でCCUSのさらなる活用、④の民生部門脱炭素化では家庭やビルへの太陽光発電導入を推進し、将来的には新築建築物のZEB/ZEH化を目指す。