きのうは全道の中学校で卒業式が行われた。おめでたいことには違いないが、新型コロナウイルス感染拡大防止のため保護者の出席を制限したり、プログラムを変更したりといろいろ不自由もあったようだ
▼何より貴重な3年間のうち、2年間をコロナに奪われた生徒たちの胸中は複雑だろう。友だちとは距離を置かざるを得ず、学校祭や修学旅行といった一生の思い出になるはずの行事も本来の形ではできなかった。最近のニュース番組で中三の男子生徒が、過ぎたことはどうしようもないから高校生活を充実させたいと語っているのを見た。〈「説明のつかないこと」に苛立ちて中三男子コーラ飲み干す〉干場しおり。本当はそんな心境でないか
▼中学生に限らない。小学生や高校生、大学生も同じである。しかも彼らはその理不尽に黙って従うほかなかった。どれだけ心に痛みを抱え込まねばならなかったか。若いころの2年は大人になってからの2年より密度が濃い。人間形成にも極めて大事な時期である。この2年、中高生や若い女性の自殺が増え、アルバイトができなくなった学生は困窮、親の失業で生活苦や家庭内暴力にさらされた子どももいた。日本は世界でもコロナ死を抑えてきた方だが、ウイルスにばかり目が行き、子どもたちを取り巻く環境が病み衰えていくのに無頓着すぎたのでないか
▼まん延防止等重点措置は21日で期限が切れる。本道含め18都道府県の多くは延長しない方針という。行動制限を安易に使うのは止め、子どもたちが普通に卒業を喜べる〝ウィズコロナ〟を実現したい。