その発言は誰のため

2022年03月17日 09時00分

 東北地方には〈イタコ〉と呼ばれる女性たちがいる。死者の魂を自分に入れ、その者の言葉を伝えることができるという。実際に体験したという人はたぶんそれほど多くあるまい。当方も昔、テレビの心霊番組で見たことがあるくらいである

 ▼信じるかどうかは人それぞれ思うところがあろう。ただ、亡くなってしまった大切な人ともう一度話したいと願う気持ちは誰にでもある。伝統が続いているのもむべなるかな。今ではテレビに登場する機会もめっきり減った。その代わりというわけでもあるまいが、最近はイタコをほうふつとさせる人々をしばしば目にする。どうやらこの人たちはロシアの魂を自分に入れ、その言い分を伝えているようだ

 ▼例えば橋下徹元大阪府知事。朝の情報番組などを見ていると、ウクライナの譲歩を盛んに訴えている。タレントのテリー伊藤さんもその一人だ。ラジオ番組で日本在住のウクライナ人と対話し、ウクライナは勝てない、ここは一度引くべきとの持論を展開したという。加えて日本維新の会の鈴木宗男参院議員である。時事通信によると、13日に札幌で開いた講演会の席上、侵攻の前に話し合いを断ったウクライナにも原因をつくった責任があると語ったそうだ

 ▼いずれもロシアの蛮行を非難し、人命を守りたいと訴えてはいる。とはいえ主権を侵害された上、民間人が家を追われ、無差別に殺されているウクライナに後ろから石を投げるならプーチン露大統領の思うつぼだろう。ちなみにイタコは依頼者の聞きたい事柄を語るらしい。彼らの発言は一体誰のために。


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