苫小牧市は国の脱炭素先行地域に応募した。市有施設への再生可能エネルギー設備導入や地域新電力の活用などを進め、市民への啓発を図りながらゼロカーボンを目指す。
国は2030年度までに脱炭素先行地域内の民生部門でCO₂排出実質ゼロを達成するため、全国で100カ所程度を脱炭素先行地域に選定。先行地域では再エネ、省エネ設備などに対して国が3分の2を補助する。
市は公共施設などのエネルギー管理を一元化することが合理的な「施設群」で応募した。
「民生」「産業」「CCUS」が一体となり脱炭素を実現するのがコンセプト。廃棄物発電の活用、埋め立て処分場への太陽光発電設備の設置、市有施設への再エネ発電設備などの設置、地域新電力などの活用による地産地消のシステム構築、廃棄物燃焼時のCO₂をBECCS(バイオマス燃焼時に発生するCO₂を分離回収・貯留する技術)かカーボンリサイクルで活用する。30年度までに再エネ発電設備を約8700kW設置する計画だ。
市民の行動変容を促す取り組みでは、小中学校への太陽光発電と発電量表示モニターを設置するほか、副読本に脱炭素のページを追加するなどして子どもへの教育を進める。町内会にゼロカーボン推進窓口を設置し、脱炭素の啓発活動をする。
こうした取り組みを実施することで、民生部門は約9%、市として年間8741tのCO₂排出削減を見込む。推進に当たっては、苫小牧商工会議所や金融機関、カーボンリサイクル技術導入シナリオの具現化に向けた産業間連携調査に取り組む事業者、苫小牧港管理組合と連携して事業を進める。
先行地域には全国から79自治体、道内から6自治体が応募している。国は25年までに年2回の募集を予定。今回の第1回応募の選定は春を予定している。