タイから来日し、日本で暮らし始めて6年目になるヒサワニッチ・キッテイデーチさん(32)。本年度から旭川左官高等職業訓練校に入校し、2年間で左官業の技能習得に努める。「覚えることが多くて大変だけど、資格取得を目指して勉強に励みたい。いつか職人として一人前になれれば」と決意を語る。(旭川支社・中村 謙太記者)
1989年8月25日生まれ。4人兄弟の末っ子として生まれた。タイの大学を卒業後は、船の整備士として母国で働いた。
嵐やKAT―TUNなど、ジャニーズの曲が好きで、日本に興味を持った。地元の日本語学校で日本語を学んだが、「習得するには実際に日本で暮らすことが一番」と留学を決意。資金をためて日本へ飛んだ。
旭川市と隣り合う東川町立東川日本語学校で1年半ほど学び、旭岳のホステルで働いた。「せっかく留学したのだから、しばらく日本で頑張ってみたい」と思っていたとき、旭川市で左官業を営む美浪左官工業に巡り会った。
職場に入って間もないが、ベトナム人の社員もおり、「周りの社員も気を遣ってくれている。いい環境に恵まれた」と笑顔を見せる。現場で体を動かして働く方が自分に合っていると語り、左官の仕事にも意欲を見せている。
語学習得のこつは「毎日会話をすること」。分からない単語があればすぐに調べ直すなど日本語の勉強は今も欠かさない。「大変優秀で努力家。頼もしい人材」と美浪利光社長も人柄を高く評価する。
日本人の妻と、生後2カ月の娘がいる。「コロナが収まったらタイの両親に雪を見せてあげたい」