室蘭開建は、国営かん排美河地区の初弾となる三石ダム貯水池内の仮設道路新設を5月中旬にも公告する。2023年度の着工を想定するダム洪水吐き改修や取水放流設備の更新などに向けた工事用道路で、延長600m。貯水池内に造るため満水時には水没するが、工事は複数年かけて進めることから、毎年度補修しながら使う考えだ。
事業は、新ひだか町内を流れる三石川上流の農業ダム・三石ダムと鳧舞川の歌笛頭首工の改修を目的として21年度に着手。事業期間は26年度までで、総事業費30億円を試算している。
三石ダムは提高35m、堤長240mのゾーン型フィルダムで、総貯水量817万m³。1991年度に完成した。
三石川のほか、流域変更工で鳧舞川にも注水しているため、取水塔が2カ所ある。2河川の流域で進む水稲、花き、野菜の栽培、牧草地整備のための農業用水を供給している。
23年度に想定するダム洪水吐きの改修は、全長380mのうち土圧で側壁が傾倒した上流側の30mを撤去し、造り直す計画だ。
取水放流設備は、三石川に放流するための第1取水塔、モモカリ川を経て鳧舞川に注水するための第2取水塔でそれぞれガイドローラーや階段を更新する。取水放流ゲート、副ゲートは一部の電動機、空気弁などを取り換える方針だ。
24年度には、管理棟(RC造、2階、延べ約480m²)の1階壁を増設、2階窓を閉塞(へいそく)して耐震補強するほか、ダム天端の補修や高圧受電設備、計装機器類の更新などを検討している。
仮設道路の新設は、これらの作業に必要な工事車両が通行できるようにするのが目的。発注は管理用道路補修3200mと一括する。
事業ではこのほか、新ひだか町稲見地区の鳧舞川上にある歌笛頭首工(堤長53・5m、堤高1・4m、フローティングタイプの全可動堰)の改修を計画。土砂吐きエプロンが水の流れで摩耗し、鉄筋が露出している箇所があるため、既設コンクリートの大部分を打ち換え、ゲート、操作基板、油圧ユニット、水位計など耐用年数が経過した機器を更新する。