健康寿命延伸ビジネス目指す 大学と企業の強みを結合
大学の英知と企業の強みを有機的に結合させ、新規事業開発へ―。北海道国立大学機構と、介護・福祉サービス事業を展開するさくらコミュニティサービス(本社・札幌)は、先端技術を活用した新規事業開発のための教育手法に関する共同研究を開始した。仮想空間「メタバース」での健康寿命延伸ビジネス開発に同社と北見工大、小樽商大が1年かけて協力して取り組む。2023年3月の新規事業立ち上げを目指す。

左から猪口教授、中元社長、渡辺センター長、早川吉彦北見工大准教授
同機構は小樽商大、帯広畜産大、北見工大が経営統合して4月1日付で発足。今回の取り組みは同機構オープンイノベーションセンター(通称・ACE)の共同研究第1号となる。
さくらコミュニティサービスは、高齢者や障害者の社会参加を支援するビジネス開発を目指し、共同で取り組むことにした。若手社員5人が中心メンバー。小樽商大が組み立てるアントレプレナー(起業家)の教育プログラムに沿って、3週間に1回程度の頻度でワークショップを開き、検討を進める。小樽商大が課題を出し、これに若手社員が応える形式だ。
北見工大は地域の医療関係者、介護事業者の現場での技術的ニーズ収集やVRアプリ開発、ヘッドマウントディスプレー(HMD)といった先進的機能の利用可能性調査など技術的側面から支援。小樽商大は新規事業開発のための教育プログラムの検討・実施・検証をはじめ、マーケット調査や会社設立など、ビジネス的側面から協力する。
ACEの渡辺康玄センター長は「若い人たちが新規事業を立ち上げることが一層の地域貢献、地域活性化につながる。本道はさまざまな課題を抱えているが、共同研究を成功させ、課題解決先進地域にしたい」との考えを示した。
さくらコミュニティサービスの中元秀昭社長は「共同研究が介護業界の課題、高齢化社会の課題解決の一助になればいい」とし、「大学が持つ知見と、わたしたちが持つ強みを結集させ、経済の発展に寄与できれば」と期待を込めた。
4月27日には北見工大で1回目のワークショップを開催。小樽商大大学院商学研究科アントレプレナーシップ専攻の猪口純路教授が新規事業開発のためのプロセスなどについて説明した。
続いて、さくらコミュニティサービスの若手社員と大学教員が3つのグループに分かれてディスカッション。事業環境に影響を与えそうな政治的、経済的、社会的、技術的要因を抽出し、それらの相互関係から事業の進むべき方法を考えるPEST分析をした。

PEST分析をした1回目のワークショップ
2回目以降は札幌市内の同社や小樽商大の札幌サテライトで開催する予定だ。