実現へ地元の機運醸成 第二青函トンネル構想でシンポ

2022年05月22日 10時00分

物流コスト削減など効果大きく

 北海道経済連合会は18日、函館国際ホテルでシンポジウム「津軽海峡経済圏を創る第二青函トンネル構想」を開いた。物流の現状や津軽海峡に新設する海底トンネルが与える波及効果を地元の経済関係者らに説明。実現に向けて機運を高めた。

オンラインを合わせ450人が耳を傾けた

 トラック輸送が日本の物流の80%を占め、本道からの輸出は依然、フェリーを用いるためコスト高となっている。また、青函トンネルは新幹線と貨物列車が共用していることから、新幹線の高速性が発揮できていない。

 日本プロジェクト産業協議会(JAPIC)が、これら問題の抜本的解決を図るため、構想をまとめた。

 JAPICが提案する津軽海峡トンネルは延長31㌔、内径15mとし、片側1車線の自動運転車専用道路と貨物輸送の単線鉄道を備える。

 工期は15年で、概算事業費は7200億円。さらにトンネルにつながるアクセス道路の整備に2000億円、鉄道の在来線との接続に1500億円が必要とみている。

 シンポジウムは2020年11月の札幌開催以来2回目。行政や建設業、観光業などから100人、オンラインで約350人が参加した。

 道経連の真弓明彦会長は「北海道から東京への輸送費など抱える課題は多く、その解決のためにも2本目の青函トンネルが必要。建設に向け、皆さんの尽力を賜りたい」とあいさつした。

 JAPIC国土・未来プロジェクト研究会の神尾哲也委員と、道経連青函物流プロジェクトチームの石井吉春座長が基調講演。それぞれ具体的な数値を示しながら、技術進歩による建設コストの削減や事業スキーム、PFI方式による資金活用の可能性などを説明した。

 神尾委員は、同事業により物流コストが年間314億円削減できることや、物流、交流、観光消費がそれぞれ増加し、年878億円に上る経済効果が生まれると力説した。

 石井座長は多額の建設費を要するが、日本経済にとって十分意義があると強調した上で、「皆さんが自分たちの地域のために強く有用であると捉え、いろいろな形で支援してほしい」と呼び掛けた。

 続くパネルディスカッションには、石井座長、パシフィックコンサルタンツの石崎晶子経営戦略室チーフプロジェクトマネージャー、津軽海峡圏を盛り上げようと奮闘する「津軽海峡マグロ女子会」のメンバーで、温泉旅館矢野の工藤夏子社長兼おかみが登壇。石崎マネージャーは構想の実現に向けたポイント、工藤社長は道南と青森で奮闘する女性の取り組みを紹介した。

 質疑応答では、実現に向けどうすれば要望が国に届くかという問いに、石井座長は「財務省の門をたたけばいいというものではない。まず地元が一枚岩になって推進の方向に向かうことが重要」と回答。地元の協力を得ながら整備に向け機運を高めたいとした。


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