冬の温泉ほど素晴らしいものはない、パウダースノーを経験せずして雪を語るなかれ、と冬を強く推す声があるのは分かっている。ただ本道観光のベストシーズンといえば、爽やかな風が吹く6月から8月にかけてだろう
▼北海道生まれの歌人、雪舟えまさんの一首を思い出す。「うれいなくたのしく生きよ娘たち熊銀行に鮭をあずけて」。そんな浮き浮きとした気持ちでどこかへ出掛けたくなるのがこの季節である。暑過ぎず寒過ぎず、空気もからっとしていて快適そのもの。あさってにはもうその6月である。ここ2年は新型コロナウイルスの影響で本道の良さを存分に味わうことはできなかったが、ことしは期待していいようだ
▼札幌の初夏を彩る「YOSAKOIソーラン祭り」が8日から3年ぶりに開催される。大通を中心に市内各会場へ展開する通常の形での実施という。8月には夏の風物詩「さっぽろ大通ビアガーデン」も帰ってくる。札幌だけではない。全道各地でイベントの再開が決まっている。気になるのは天気である。コロナが沈静化しても雨が活発化するのでは台無しだ。緊急事態宣言がなくても外に出る気になれない。ただ、心配はいらないようだ。気象庁が発表した3カ月予報によると、全道的に気温は平年並みかやや高め、降水量は平年並みだそうだ
▼コロナを経験した今、〝いつも通り〟のありがたさが身に染みる。雪舟さんの歌をもう一首。「おにぎりをソフトクリームで飲み込んで可能性とはあなたのことだ」。米と乳製品が自慢の本道である。可能性を広げに出掛けたい。