テレビの連続ドラマなどを見ていると、途中から新たな登場人物が加わるときには必ずその人物を際立たせる場面が用意される
▼いずれも池井戸潤原作のTBSドラマ、『下町ロケット』や『半沢直樹』のようなビジネスものなら、新たに登場した主人公をいたぶる上司や大企業の担当者がどれだけ嫌な人物かを強く印象づけるといった具合。番組視聴者が本気で腹を立てるくらい性格の悪い方がドラマは盛り上がる。逆に主人公の前に立ちはだかる人物の性格付けが中途半端だったり、役者が大根だったりするとドラマはつまらないものになってしまう。壁は高い方が乗り越えたときの達成感も大きい。相手方の存在感と力量がドラマの出来を左右するのである
▼通常国会に立憲民主党の代表として新たに登場した泉健太氏にも9日、内閣不信任決議案提出という大きな見せ場が用意された。さて、出来はどうだったか。結果は皆さん見ての通りである。泉氏の趣旨弁明はまるで迫力に欠け、追究内容も薄かった。性格なのか大根なのか、内閣に対抗する野党第1党の代表がこれでは国会も盛り上がらない。泉氏は政府が物価高に有効な手を打たず、国民を不安にしていると主張。ただ、精緻な分析を欠いた感情論の域を出なかった
▼同じ野党の国民民主党や日本維新の会にもそっぽを向かれ、決議案は自民党や公明党などの反対多数で否決。立憲民主の孤立ばかりが目立った。この連続政治ドラマは次に夏の参院選という大きな山場を迎える。役者の顔ぶれを見るにこちらも盛り上がりは期待できそうにない。