ママ、ごめんね

2022年06月14日 09時00分

 子どもの純粋な心に触れると、胸を揺さぶられる気持ちがする。読売新聞の人気コーナー〈こどもの詩〉精選集『ことばのしっぽ』で、岡田彩華ちゃん(小1・当時)の詩を読んだときもそうだった

 ▼短いので全文を引く。「がっこうのしんぞうのけんさでひっかかっちゃった。にどめ、またひっかかった。さんどめ、びょうきがみつかった ままがなみだをながしていた まま、よわく、うまれてきて ごめんね」。タイトルは「からだがよわくてごめんね」である。彩華ちゃんが謝る必要などどこにもない。それでも彩華ちゃんは、ママを悲しませてしまったのは自分の責任だと感じているのだ。まだ小1なのに。子どもは純粋なため、親ら周りの大人が悲しんだり怒ったりすると自分が悪いからだと思い込んでしまう

 ▼死に至る虐待を受けてさえそうなのだ。福岡県篠栗町で2020年4月、育児放棄され餓死した5歳の碇翔士郎ちゃんも亡くなる当日、母親に掛けた言葉が「ママ、ごめんね」だったという。保護責任者遺棄致死罪に問われた母利恵被告の裁判の主要な審理が10日までに終わり、むごい虐待の実態が明らかになった。利恵被告は同罪で起訴された知人の赤堀恵美子被告に心を支配され、生活費も搾取されていたそうだ

 ▼赤堀被告はうそと脅しで利恵被告の意志を奪い、子どもの食事まで細かく指示して翔士郎ちゃんを餓死に追いやった。疑いを知らぬ子どもの目には、自分が悪い子だから罰を受けていると見えていたろう。だが違った。「ごめんね」を言わねばならない人は他にいたのだ。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 日本仮設
  • 川崎建設
  • 東宏

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,460)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,279)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,191)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,074)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (852)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。