再エネ由来の水素製造やインフラ設置の事業性検討
三菱商事や北海道電力などの6社は20日、新千歳空港での水素利活用モデル構築に関する調査事業を行うと発表した。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)から受託し、期間は6月から2023年3月まで。関係者からの聴取や文献調査を通じて、エネルギー需要を再生可能エネルギー由来の水素で賄うことが可能か調べる。空港や航空燃料を脱炭素化する動きが加速しそうだ。
トラクターなど地上業務車両(GSE)の燃料需要や、旅客ターミナルビル・空港併設ホテルなどの電力需要でどの程度水素を使えるか調査する。空港現地や遠隔地での、再エネ由来電力や系統電力を活用した水素製造を検討。水素タンクや充填設備など関連インフラの設置についても事業性を検討するとみられる。
三菱商事が全体を取りまとめる。北電は水素製造コストや脱炭素効果などのポテンシャル調査を担当。他に北海道エアポート(本社・千歳、HAP)、三菱総研、東芝エネルギーシステムズ(同・川崎、東芝ESS)、三菱商事子会社のレンタルのニッケン(同・東京)が関わる。
6社は「将来的には航空機燃料にも水素利用の可能性がある」として、空港を起点とした道内への水素普及に期待を寄せる。実際、三菱商事は4月に持続可能な航空燃料(SAF)の事業化についてENEOSと共同検討すると発表したほか、東芝ESSは昨年からSAF製造に関する検討事業に取り組む。
空港の脱炭素化に向けた注目は高まっている。国土交通省は今月、施設の省エネ化や再エネ導入に関する補助金を公募した。HAPは道内7空港での再エネ設備投資を進める方針だ。