KOYA.labのトレーラーハウス 受注販売本格化へ
KOYA.lab(本社・本別、コヤラボ)は、自社製品のトレーラーハウス「モバイルアパート」を現場代理人の住まいに活用する実証実験を広尾町内で進めている。現場事務所敷地内に設けるため、有事の際にはすぐ現場に駆けつけられる。車通勤がなくなり排ガスを抑制できるため、北海道インフラゼロカーボン試行工事の取り組みとして発注者への提案も検討中。今後、実験で出た課題点を改良し、受注販売を本格化する考えだ。
同社は2017年に岡崎組(本社・本別)の岡崎慶太常務とダンホーム(同)の山本晃弘常務が起業。十勝管内の絶景スポットにタイニーハウス(S造、延べ18m²)を設置し、宿泊できるアウトドア体験がコロナ禍でも人気を集めている。足寄町の旅館跡地では「雲海に泊まる」がコンセプトの宿泊施設(W造、2階、延べ219m²)を新築。11月のオープンを目指し、工事を進めている。
今回使用するモバイルアパートは、W造で延べ4・9m²の洋室2間と延べ5・3m²のトイレ・シャワールームで構成。全体は長さ8・43m、幅2・43m、高さ3・56mで土台が台車のため、牽引免許があれば2㌧ユニック車で自由に移動できる。運搬・設置はKOYA.labが担当する。
断熱や防音性能は一般住宅と同等のため、冬の北海道でも快適に過ごせる。電力は現場事務所の仮設電気から引いて最大20まで使用でき、ソーラーパネルの設置も可能だ。
最大の特徴は水回り。排水不要のコンポストトイレ、シャワーには独自開発の完全循環型浄水システムを導入し、下水道工事が不要。岡崎慶太社長は「通常のトレーラーハウスなら他社でも作れるが、生活に必要な水を循環して再利用できる機能を搭載したのは当社だけ」と太鼓判を押す。
今回は国道236号広尾町豊似トンネル補修ほかの現場事務所脇に設置。事務所は大樹町市街地から車で10分の広尾町紋別に位置し、周囲には畑や牧場が広がる。
現場代理人を務める岡崎組の森研太郎土木課長は6月20日から利用している。本来は大樹町や広尾町のホテルに長期宿泊するが、航空宇宙関係の滞在者が多く、どこも満室の状態。自宅のある本別町からは往復240㌔あるため、会社に相談してモバイルアパートを使うことにした。
住み心地について森課長は「暑さ寒さは全く問題なく、十分な居住環境が整っている」とした上で、「通勤時間がゼロのため、時間を柔軟に使えるのがメリット。大雨の日も常駐できたため、すぐに現場へ向かえて助かった。遠方の現場であるほど良さを実感できる」と話す。
また、空き部屋は物置や作業員の休憩所に使用でき、夏は汗をかいた作業員がシャワーを浴びて帰ることも可能だ。アイデア次第で使い方の幅が広がる。
現在はオプション無しタイプで500万円から販売。製造には2カ月を要する。レンタルは3カ月まで月18万円とし、半年以上は要相談。別途で浄水システムの使用料を加える。
岡崎社長は「電気や水道を気にせず設置でき、移動時間も省ける上、災害時の仮設施設にも最適。技能実習生が住む家の基準もクリアしている。建設業者はもちろん、さまざまな業界で活用できる」と期待を込める。
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