ロシアのうそ

2022年07月26日 09時00分

 幕末明治期に縦横無尽の活躍をした勝海舟は、ロシアとの交渉にも一時深く関わっていた。談話録『氷川清話』(角川学芸出版)に経緯を記している

 ▼ロシアは当初、対馬で軍艦の修繕をしたいと言って幕府に上陸を願い出たそうだ。本来、指定地以外での上陸は認めないが、緊急の場合だからと許可が下った。すると勝手に道を開くは畑を作るは。果ては兵舎まで建て出す横暴ぶり。談判するもののらちがあかない。揚げ句にこう言うのである。「わがロシアにおいては、他国の領域を奪い取るなどのことは、誓っていたさない」。しかも大砲50丁を対馬に備え付け、日本に献納したいと申し出るのだ。無理やり物事を進め、すぐばれるうそでごまかすのがロシアの流儀らしい

 ▼そんな昔の強いロシアを懐かしむプーチン大統領の姿勢を反映したものだろう。23日のウクライナ南部オデッサ港へのミサイル攻撃をロシアはいったん否定。ところがうそが露見すると、一転して港でなく軍事拠点を狙ったと発表した。両国はこの前日、国連とトルコの仲介でウクライナからの穀物輸出再開を合意。港湾施設や商船を攻撃しない約束もしていた。その舌の根も乾かぬうちにミサイルを撃ち込むのだからまともではない

 ▼思えば侵略当初の一般人虐殺や民間商業施設爆撃も動かぬ証拠が出るまでロシアは否定していた。勝の時代と違い各国の目もある今は真実がすぐ明るみに出る。「ウクライナを侵略するつもりはない」。オオカミ少年でももう少し学びそうなものだが、ロシアはかたくなに流儀を変えようとしない。


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