平成が始まったころに青春時代を過ごした人なら、今の季節になると決まってこの歌が口をつくのでないか。5人組ガールズバンド〈PRINCESS PRINCESS〉の『世界でいちばん熱い夏』(富田京子作詞、奥居香作曲、1989年)である
▼疾走感のある奥居さんのボーカルが高揚感を呼ぶ。こんな歌い出しだった。「8月の風を 両手で抱きしめたら イマジネーション 飛び立つのサヴァンナへ」。きょうから8月。世界で一番とまではいかないものの、げんなりするほど暑い夏が既に始まっている。こちらはイマジネーションでなく現実である。天気予報によると、関東以南はこれからしばらく30度以上の日が続くそうだ。中でも東海地方は35度超えが連続するという。サバンナもあながち大げさではない
▼北海道はといえば、1週目こそ気温は少々控えめに推移するが、2週目は厳しい暑さを覚悟しておいた方がよさそうだ。札幌管区気象台の1カ月予報も前半に暑さのピークを置いていた。「読む文の文字薄れゆく酷暑かな」遠藤久美。あまりの暑さに意識がややもうろうとしているのかもしれない。日本気象協会の熱中症情報を見ると、この先10日間ほどは北陸と関東以南で「危険」、本道と東北でも「警戒」「厳重警戒」の文字がずらりと並ぶ
▼熱中症対策は皆さん万全だろうか。基本は体調管理だが、小まめな水分・塩分補給と体に熱がこもらない工夫もお忘れなく。先の歌が流れていた平成初期より、8月の風は格段に熱さを増したように感じる。気軽に抱きしめない方がいい。