終戦記念日を前に

2022年08月12日 09時00分

 絵本は小さな子どもが読んで楽しむものとの見方が一般的だが、なかには大人が大切なことに気付かされる作品もある。最近たまたま手に取った長谷川義史さんの『ぼくがラーメンたべてるとき』(教育画劇)も、そんな絵本の一つだった

 ▼タイトル通り、一人の男の子が家でのんびりとラーメンをすすっているシーンから物語は始まる。隣でネコのミケがあくびをしていて、「ミケが あくびしたとき…」と続く。そこからはこの繰り返し。「となりの まちの おとこのこが バットを ふったとき…」「その となりの くにの おんなのこが あかちゃんを おんぶしたとき…」。世界中で同じ瞬間に起きている何気ない日常の一こまが、ページをめくるたび目に飛び込んでくる

 ▼ところが最後は「その また やまの むこうの くにで おとこのこが たおれていた」。戦争に巻き込まれて命を落とした男の子が、焼け落ちた街に横たわっているのだ。今も戦争が行われている事実を突き付けられる。77回目の終戦記念日が近い。日本では昔の過ちを反省し、ある意味平和を謳歌(おうか)する日になっているが、実は世界には一日として終戦の日がないのだった。悲しいことにそれが現実である

 ▼今もロシアのウクライナ侵略は続き、中国は台湾奪取の野心を隠そうともしない。中東パレスチナ自治区のガザでは、5日の空爆で44人が犠牲になった。まさに日本で男の子がのんびりラーメンを食べているとき、世界のどこかで砲撃におびえている人がいるのである。忘れてはいけないことだろう。


ヘッドライン

ヘッドライン一覧 全て読むRSS

e-kensinプラス入会のご案内
  • 北海道水替事業協同組合
  • web企画
  • 川崎建設

お知らせ

閲覧数ランキング(直近1ヶ月)

おとなの養生訓 第245回 「乳糖不耐症」 原因を...
2023年01月11日 (1,474)
函館―青森間、車で2時間半 津軽海峡トンネル構想
2021年01月13日 (1,301)
アルファコート、北見駅前にホテル新築 「JRイン」...
2024年04月16日 (1,184)
おとなの養生訓 第43回「食事と入浴」 「風呂」が...
2014年04月11日 (1,084)
おとなの養生訓 第170回「昼間のお酒」 酔いやす...
2019年10月25日 (830)

連載・特集

英語ページスタート

construct-hokkaido

連載 おとなの養生訓

おとなの養生訓
第258回「体温上昇と発熱」。病気による発熱と熱中症のうつ熱の見分けは困難。医師の判断を仰ぎましょう。

連載 本間純子
いつもの暮らし便

本間純子 いつもの暮らし便
第34回「1日2470個のご飯粒」。食品ロスについて考えてみましょう。

連載 行政書士
池田玲菜の見た世界

行政書士池田玲菜の見た世界
第32回「読解力と認知特性」。特性に合った方法で伝えれば、コミュニケーション環境が飛躍的に向上するかもしれません。