例えば誰かが「近所の人にあいさつしたって札束が降ってくるわけじゃなし」「他人に好意で何かしてあげても一文の得にもならない」と言ったとしたら、あきれられるのがオチだろう。人の行いや善意をお金と絡めてないがしろにするのは人にもお金にも失礼な話だ
▼そんな発言をする人物が軽蔑されるのは、あいさつや好意が人間関係を円滑にし、巡り巡って生活を豊かにすることに気づいていないからでもある。何でもお金に結び付ければいいわけではないが、それを通して見えてくる事実も多い。安倍元首相が日本にもたらした大きな経済効果もその一つである
▼旧民主党政権時代に8000円台半ばまで下落した日経平均株価は、第1次安倍政権発足とともに上昇を始め、首相を退いた2020年には2万2000円に達していた。企業マインドが好転し、雇用情勢は改善。1を切っていた有効求人倍率も、1・6をつけるまでに回復した。その成果は勤労者と国民給与総額の増加という形で現れている。日本の国際的地位向上に努めると同時に、技術やサービスを売り込んだ外交も功を奏していよう。公共事業を悪者扱いした前政権の政策を転換し、公共と国土強靱化を重視したのも忘れるわけにはいかない。地域活性化と復興を支えた
▼全て合わせるとどれだけのお金になるのか。国葬経費の比ではあるまい。安倍政治を延々攻撃してきた野党とマスコミはその間、どれだけの富を日本で生み出したろう。同列で論じていいことでないのは承知の上。ただ、少しそんな意地悪を言ってみたくもなる。